■Short Story 『彼方の4年目のバレンタインデイ』
【バレンタイン特別企画 SS(Short Story)】
『彼方の4年目のバレンタインデイ』
※時間軸は第二章を終えたその年の
秋馬彼方のバレンタインのこころのお話。
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|<1>
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|今年のバレンタインはチョコを買わないと思った。
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|いや、正確には違うかもしれない。
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|お世話になっている叔父さん叔母さんの分の
|バレンタインのチョコは買っているから。
|叔父さんはお酒が好きなのでブランデー入りのチョコ。
|ミルク好きの叔母さんにはホワイトチョコ。
|バレンタインが来る前の休日に買った。
|あとは当日に渡すだけ。
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|私が買わないと思ったのは、
|小学五年生のときから買っているチョコ。
|それから毎年買っていた。
|去年も一昨年も買った。
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|でも、そのチョコは本来の目的を果たせずに
|過去三回バレンタインデイをすぎていた。
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|毎年、今年こそは渡したいと思って買っていた。
|そして、渡せるかもしれないと思って買っていた。
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|ずっとそう思っていた。
|どこかで叶わないと思っていても、
|どこかで叶うかもしれないと思っていた。
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|そんな気持ちをチョコに託していた。
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|だからチョコを買うのは、
|いつも時間がかかった。
【→2】
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