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■「こころのアリカ」のSS


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3.

「・・・どうかしましたか?」
後ろから声をかけたのはお茶菓子を持った夏奈だった。
「え・・・あのー・・・そのー・・・」
「兄さん、入るよー。」
そう言って夏奈はドアを開ける。
「おっ、お邪魔しま〜す・・・」
部屋の中にはパッとしないカレンダーと机とベッドくらいしかない。
その部屋の大半を占めるベッドの上に寝巻き姿の和也がいた。
「いらっしゃい、橘さん。わざわざ来てもらって悪かったね」
「ううん。そんなことないよ。」
「それじゃ机の上にお菓子は置いておきますから。」
「あ・・・ありがとうございます。」
「ありがとうな、夏奈。」
「いえいえ、ごゆっくりー。」
自然な笑み・・・ではなく、なにか含みのある笑い方をしながら部屋を出ていく。
「ところで夏目君、からだのほうは大丈夫?」
「まぁただの風邪だし・・・学校には明日から行けるかな。」
「うん、ならよかった。」
ありかは微笑んで、部屋を見渡す。
(これが男の子の部屋なんだ・・・)
少々、悦に入っているようである。
「あ、勉強机の椅子だけど、それに座って。」
「え!?ああ、うん。」
何を思っていたのかありかは少々赤くなっていた。
そして、気恥ずかしさを覚えながら椅子に座ることにした。

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