←TOPへ戻る

■「こころのアリカ」のSS


←6
7.

「夏目・・・く・・・ん」
「橘さん。」
和也がありかの体を大きく揺さぶる。
「橘さん!」
「夏目君・・・だめ・・・」
少しずつありかの呼吸が早くなる。
そして・・・
「そんな・・・チンパンジーの上のゴリラで電車に乗るのだめぇ!!」
凄まじい寝言を発する。
言わずとも意味不明である。
「それより、橘さん、起きて。」
和也はありかの頬を軽く叩くが、なかなか起きる気配はない。
「う・・・んな?」
寝ぼけまなこで目をこする。
「夏目君・・・」
そして、目を見開いたように怒鳴る。
「夜中過ぎたら子供達に甘いものあげないって約束じゃない!!」
実際はまだかなり寝ぼけていたりする。
「え・・・あ・・・ごめん。」
なぜか意味もわからず和也も謝る。
「そ、それより大丈夫なの?・・・けっこう雨ひどいけど。」
「・・・雨?」
耳をすませてみる。
すると、外からザァーというどしゃぶりの音。
窓を見てみると、さっきまで出ていたはずの日すでにどこかへ消え去っていた。
そして、雨が降っているということをぼんやりと考えながら意識が覚醒していくのを待つ。
「・・・ああああーーーー!!」
傘を持ってきていなかったことを思い出して、ありかは大声をあげる。
今日は天気予報を見ていなかったが朝は快晴だったので持ってこなかったのだ。
「もしかして、持ってきてないの?」
「うん・・・」
「でも、まぁ・・・そのうちやむかな?」
「じゃあ、雨脚が弱まるまで居させてもらっていいかな?」
「もちろん。」

→8


 
←TOPへ戻る


 Copyright©2003-2007 Kaz/ARIKA-PROJECT All rights reserved
このページに含まれる全ての無断転載を禁止します